実名ネットワーク普及による「特定」の逆襲

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先日あるテレビ番組に出演されていた方が番組の中で過去いじめにあっていたことを告白し、さらにそのいじめの内容があまりに凄惨だったため2chやツイッターで話題になっています。

2chでは当時のいじめをした人を特定するスレが立ち上がっており、いくつかの実名や出身校などが晒されていました。

このいじめが事実だったのか、晒されていた人が実在する当人なのかはわかりません。ただ今回のこの流れや、過去に軽率な行動や発言を自分のブログやmixi、ツイッターなどにアップして証拠を残しては晒されてきた人たちがいる歴史を考えると、ひとつの結論に行き当たります。

Facebookなどの実名ネットワークが普及し多くの人が登録するようになると、過去に悪行をした人が一瞬で特定されるということです。

Facebookは今では毎日1万人以上の日本人が登録しています。実名制、およびそれに付随するリアルプロフィールの掲載による恩恵は大きく、今後さらに普及していくことは間違いないでしょう。著名人だけでなく多くの経営者や技術者の方々も参加し始めています。

実名ネットワークというものは匿名ネットワークと違い、参加への強迫性が非常に強いと考えられます。mixiなど匿名が主体のSNSにリアル友人やネット友人が誘ってきても「面倒だしいいや」というスタンスで済みます。しかしFacebookに気になる異性、恩師、お気に入りの本の著者、就活する予定の企業の経営者などが参加していたらどうでしょう。自分からすすんで参加してしまうのではないでしょうか。

そうして普及が進み、携帯電話のように持っていないと「え?なんで持ってないの?」と言われるような普及度まで到達した場合、登録していないことが逆に不審に思えてきます。米国では新たに友人として知り合った時や名刺交換の際、Facebookの情報を交換するのも普通に行われているそうです。

「Facebookアカウントは持っていて当たり前」 Facebookが電子メールでGoogleに追撃 – TechWave

ある米国在住の友人は「アメリカではFacebookアウントは持っていて当たり前。持っていない人は、電子メールのアドレスを持っていない人、携帯電話を持っていない人ぐらいに珍しい」と語る。

実名ネットワークへの登録が避けられなくなってくる中、過去に後ろめたい行為をしている人は実名だけ露出してしまえば、誰でもFacebookから実名を検索するだけであっという間に顔や友人関係がわかってしまいます。2chで行われているような発掘作業はもはや必要ないほど、みな自分から情報を晒す世界が来ようとしています。

後ろめたい行いがあったがゆえにFacebookの登録を頑なに拒んだら、それはそれで自分から「私はみなさんに公開できない事情があります」と言っているのと同義になってしまいます。仕方なく登録すれば、過去の悪行をいつリークされ特定されるかもと怯えることになります。

実名登録ネットワークとは能力があってかつ清廉潔白な人を望む、想像以上に排他的で恐ろしい仕組みかもしれません。

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この記事を書いた人

塩川まことのアバター 塩川まこと デザイナー

デザイナー/プログラマー/クリエイター/コンサルタント。経験15年超のフリーランス。専門分野はUX、xR、人型インターフェース、キャラクターデザイン、アプリUI、空間UI、Web制作など。強みは現実×デジタル×仮想空間の融合や、ユーザー体験を軸とした改善提案。フルリモートワーク

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