見つけにくいサービス体験の問題発見と、的確な改善
UXとはUser eXperience(ユーザーエクスペリエンス・ユーザー体験)を指します。
UXデザインとはなにか
UXデザインとは、ユーザーが自分の思ったようにサービスをスムーズに体験できるよう設計することです。
このようにご説明すると、
それって製品の開発時に自社のディレクターやデザイナーがやってるよ
それってサービス担当者が自然とやることであって、わざわざ外部に依頼するようなこと?
と言われることがあります。
社内でユーザー体験をうまく設計できない理由
ここで考えていただきたいのが、本当にユーザー体験を最優先に考える担当者が社内にいるのか? という点です。
なぜ私のような外部のデザイナーにユーザー体験改善を依頼するニーズがあるかというと、製品やサービスの開発に直接携わるからこそ陥りがちな当事者の盲点があるからです。
たとえば「自社アプリ開発」を想定し、各メンバーの主要な役割を挙げてみます。
チームリーダーの役割
- 今期目標の達成
- 目標につながる案件策定
- メンバーのマネジメント
ディレクターの役割
- 予算内での人員配分
- スケジュール調整
- WBSの管理
エンジニアの役割
- 要件を満たす機能実装
- 上記にかかる工数の算出
- バグfix
デザイナーの役割
- 画面ワイヤーを描く
- 適切なUIの選定
- 具体なグラフィック作成
ここに「ユーザー」という言葉は出てきません。
よく「デザイナーがいるんだからUXもやってるでしょ?」と言う方がいますが、デザイナーにもWebデザイナー、UIデザイナー、グラフィックデザイナーなどさまざまな職種があり、それぞれ「Webサイトをどうデザインすると要件が満たせるか」「どのようなUIをどのケースで使うべきか」「どういったグラフィックが狙った感情を引き起こすか」といったものに責任を負っています。つまりユーザーにとって何が良いか?どうなると悪いのか?を見極めることを最優先事項とするデザイナーはほぼ社内にいません。
さらに言うと、他の職業の方が主業務の「ついでに」行えるほどユーザー体験の設計は簡単ではありません。なぜならビジネスにおいて人間が最も複雑で非合理だからです。
あなたの会社でユーザー体験がそこそこうまくいっているとしたら、それはディレクターやエンジニア、デザイナーがUXに注意を払える、そういった素養のあるかなりレアな方であって、たまたま属人的にうまくいっているに過ぎません。
ユーザー体験の良し悪しに注意を払わないと何がマズイのか
現代はさまざまなサービスが溢れかえっていて、その機能性・料金・提供形態で大きく差がつくことは少なくなりました。つまり、あるサービスをリリースしたら、すでにある他社のサービスと被ることがほとんどです。
ではユーザー(利用者)たちはどこで取捨選択をするのかというと、「なんとなくこっちの方が楽」「ヘルプとか見ないでささっとできた」「毎日使うのに違和感がない」といった、体験のちょっとした差でそのサービスを使うか使わないかを決めることが格段に増えました。
「弊社の方がA社よりスペックが10%も上だ!」「うちの方が月額料金が1,000円も安い!」と品質や料金で勝負したところで、たとえば会員登録がちょっと面倒だったり(そもそも会員登録させること自体が嫌がられていたり)、支払い方法の少なさで見限られていてはサービスの良さを体験する前に離脱していることになります。
UXの対応について問題になるBadケース
※気になるケースを開いてみてください
よくあるBadケース1:開発者に開発ついでにUXも任せている
開発ついでに使いやすくしといてね!
(デザイナーに言ってくれないかな…)
案件を依頼する人が開発者(エンジニア)に「UXもいい感じによろしく!」とラフに渡してしまうケースは多々あります。しかし開発者のマストな役割・責任は「要件を満たす機能開発/バグのない実装/期限・予算の厳守」であって、デザインに関して、ましてやUXについて調査・設計・試作などをする時間も責任もありません。
結果としてUXをどうするか宙に浮いたまま納品され、使いにくいシステムが出来あがります。これについて開発者を責めるのは筋違いです。
よくあるBadケース2:機能追加することでユーザー満足度は上がると考える
新しい機能を追加したから他社に差をつけたな!
(なんか前より使いにくくなった…)
機能追加をする = ユーザー満足度が上がる と考える方は多いです。確かにサービスに不足している機能を追加することは大事です。しかし機能追加はプラスの面だけではなく、複雑さも追加するというマイナス面があることは見逃されがちです。
機能追加したせいでユーザーに余計な負荷(ステップ増や長い文章を読ませるなど)を与えたり、既存機能が使いにくくなったりしていませんか?
よくあるBadケース3:ユーザーに聞いているから大丈夫!
この画面にこういう機能があると便利かも!
(言われた通り実装したのに全然使ってない…)
VoC(Voice of Customer:顧客の意見)を拾い上げて製品開発に活かす企業は増えています。これ自体はとても良いことです。しかし「ユーザー自身に聞いたのだから、言う通りに作ればベストなユーザー体験になるはずだ!」と愚直に実装するのは間違いです。
例えば「この画面にこういった機能があればいいね!」という意見のまま機能を実装したのにほとんど使われない…といったケースでは、意見をくれたユーザーはその画面(いくつか階層を下った画面)で機能を使いたかったがその他大半のユーザーにとっては、まずホーム画面に置いてくれないと機能の存在に気づきすらしなかった、などということが起こります。
ユーザーに悪気があるわけではありませんが、いちユーザーがその他ユーザーの体験やその他機能が損なわれないようにデザインしてくれるわけではないことを念頭に置いて、UXに関わる必要があります。
ソライトがご提供できること
製品・サービスの
問題点の発見
ユーザー視点の
改善提案
企画、開発やマーケなど
横断した知見
ソライトでは、自社アプリやWebサイトを開発していく際に「ユーザー視点が不足している」と悩まれている事業者様向けに、利用者側に立った体験改善をご提案します。
またそれら「デジタル面」と物理店舗など「フィジカル面」との連携にお困りの場合にもご提案できますので、お気軽にご相談ください。
UXデザインコンサルティングの主な実績
- 飲食チェーン 各店舗の券売機・SO・SPOのUXデザイン(一部上場 飲食系企業さま)
- 社内業務支援システムのUXデザイン(一部上場 IT系企業さま)
- BtoC向け SaaSのUXデザイン(一部上場 メディア・SaaS企業さま)
- コンビニ公式アプリのUXデザイン(コンビニエンスストア企業さま)
UXデザインの流れ
※ケースによって変わるので一例です
現状のお困りごとと、ご依頼されたい内容をご説明いただきます。
実際にサービスやアプリを試し、ユーザーの体験フローを把握します。
ユーザーが期待する体験を定義したり、似たような他社サービスの体験設計を調査して問題を発見します。
ここでビジネスゴールとユーザーゴールが混同されている場合は、分離し説明します。
現状の問題があるユーザー体験の流れをMiroやFigmaなどのデザインツールで可視化し、ユーザーは本当はこういった体験を望んでいるのでは?という仮説に基づき、理想のフローも描きます。
可視化された課題をユーザーに確認します。
今回のプロジェクトの方向性を指し示す言語化を行います。
複数のステークホルダーをつなぐ羅針盤の役割を果たします。
主にFigmaを用い、UIデザインを行います。要求に応じてピクセルパーフェクトな成果物も制作します。
データを連携し開発へ引き継ぎます。
デザインについての見解(Quoraへの投稿)
UXデザインを支えるその他スキル
- コンセプトメイキング
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ステークホルダーを1つに束ねる「プロジェクトの羅針盤」の具現化、言語化
- UIデザイン
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- 上記UXデザイン案件におけるWebおよびアプリUIのデザイン
- Figmaによるワイヤーフレーム作成
- Atomic Design をベースとしたコンポーネント設計
原子/分子/有機体 といった構造化の考え方を用いたUIデザイン、コンポーネント設計
参考:Atomic Designにもとづいて具体的にページ (たとえばユーザーログインページ) を作る場合、どのような構成、state保持にしますか?に対する塩川 誠 (Makoto Shiokawa)さんの回答 – Quora
- プロトタイピング
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Figma, Sketch, Adobe Xdを用いたプロトタイプの作成
- エンジニアリング
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- PHP, Javascript, C# などによるシステム開発経験
- Webアプリ、ネイティブアプリ開発経験
- Webサーバー運用経験
- GitHub, GitLab などのバージョン管理経験
- マーケティング
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- 与件から問題発見、課題仮説、戦略仮説、コンセプト設定までの戦略プランニング
- STP, 3C分析といったフレームワーク実用経験