先日、東京ビッグサイトで行われたコンテンツ東京というイベントに行ってきた。その一角にあるVR・AR・MRワールドが目当てだったのだけど、思った以上に盛況でびっくりした。
約60もの企業が出展していて、人気の企業ブースは30分以上の待ち行列ができている。仕方なく体験を諦めたブースも多かった。
まぁ「時間が」というよりVR(仮想現実)やAR(拡張現実)って「立って、動いて」という体験型が多いから、体力がもたなかったというのもある。さすがに体験型ブースを60は回れない…笑
ともあれ刺激的な1日だった。
コンテンツ東京の様子については別で書くとして、「僕はやっぱりVRや仮想世界、ネットが大好きなんだなぁ…」と思ったらなんだかじっとしていられなくなったので、とりとめもなく書いてみることにした。
はじまりは就職活動中のネットゲーム
「いや、就職活動しろよ」っていう話なのだが笑
まぁちょっと昔話にお付き合いください。
僕が大学生の頃はインターネットがまさにこれから、という時期だった。Googleがなんだか便利だ!とか言われ始めていた頃である。
リクナビなどの就活サイトが増えてきて、親に「これからはパソコンがないと就職もできないんだって!」とかなんとかうまいこと言って、ノートパソコンを手に入れた。
初めて自分専用のパソコンを手に入れ、まぁ就職活動をそこそこしつつも、何より心をつかまれてしまったのがMMORPGと呼ばれる何千人、何万人という人が同時参加するオンラインRPGだった。
僕は元々ゲームが大好きで、特にドラクエやファイナルファンタジーといったRPGばかりプレイしていたのだけど、ああいう家庭用ゲーム機のRPGって当然、街の中で話しかける相手はプログラムなわけだ。決まった内容をただ繰り返すだけのNPC(ノン・プレイヤー・キャラクター)という人々。
でもオンラインRPGは街の中を歩いている人のほとんどは実在するどこかの誰かが動かしている訳で、それだけで興奮した。だって驚くのがさ、向こうから話しかけてくることすらあるわけだ。こんなのはオフラインのRPGをしてたら体験できない。
「どうしたの〜?初心者?わからなかったら色々おしえよっかー」なんて、生身の人間が助けてくれたりした。みんな同じようにこの新しい世界にワクワクしていて、一緒に楽しもう!という雰囲気があった。
しばらくして気づいた、ゲームだけじゃない感覚
その後さまざまなオンラインRPGを渡り歩き、いろんな人たちと出会うことになる。
最初はみんなゲームをすること、つまりはレベルアップとか強敵を倒すとかお宝を手に入れることに夢中なんだと思っていた。
でもゲームの中で知り合った人と仲良くなり、フレンドリストが増えていく。あるとき仲間とこんな話になった。
「なんだか毎日チャットばかりしてるよねw」
仲間のひとりは「これはゲームじゃなくて、高級チャットなんだよw」なんて言っていたが、ほんとその通りだなと思った。敵を狩りに行って世界を救うはずのゲームなのに、街中に引きこもって仲間とダベってるほうが楽しいのだ。「あ、もうこんな時間!おやすみ〜」といってログアウトしていくみんな、そして僕。あ、今日も話してておわったな…笑 と
(あれ、これってゲームなんだよな…? でもゲームしてない時間のほうが多いって… いや、それも含めてゲーム…?)
そんな風にときどき思ったりもしたけど、仲間と目的もない日々は流れていく。「え?誕生日!?じゃあパーティしよパーティ!」「レベル1のキャラでどこまで行けるかレースしようぜ!」「みんなで船乗って釣りしよー☆」そんな遊びを毎日生み出して、楽しさをみんなで作っていた。
これってなんだかこの世界で生活してるみたいだ、なんてぼんやり思っていた。
ワクワクを投影する仮想世界
これはゲームなのか、それともここで過ごしているのか。そんなことを考えることが増えてきた頃、そもそもゲームじゃないSecond Lifeというものが現れる。一時期、電通がプロモーションしたこともあって聞いたことがある人もいると思う。仮想空間、仮想世界、メタバースなどと呼ばれていた。
Second Lifeは最初から衝撃的だった。というか、カオスでしかなかった笑
今でこそ初回ログインすると初心者島で丁寧なレクチャーがあるが、僕が始めた当時は砂漠のような荒野でスタートし、困ってウロウロしていたら突然ハダカの外国人がマシンガン片手に襲撃してきて、始めてわずか5分で上空20キロの宇宙空間に放り出されるというカオスっぷりだった。
なんとか地上に戻り、荒野をトボトボ歩いているとさまざまな造形物が転がって… いや、宙に浮いている。イス、家、自動車、ロケット、巨大なヘビ、武器、花火のような演出効果などが、荒野の空中に浮かんでいるのだ。今までのオンラインRPGのような整った世界じゃなく、誰かの妄想が雑に吐き出されたような世界だった。
偶然出会った日本人の方に色々と教えてもらい、ここがどんな世界なのかわかってくる。Second Lifeでやることは自由で、自分自身(アバター)を着飾ってもいいし、服や建物などを作って売るのもできる。なんとそのお金は現実のUSドルと換金すら可能(!)「ここだけで生計立てている人もいるよ」という話だった。
その名前の通り、まるで第二の人生、第二の世界がそこにあるようで、どんどんのめり込んだ。最初に降り立った砂漠はサンドボックスと呼ばれていて、広大な実験場だった。
僕らは毎日サンドボックスに集まり、四角い箱をみんなで引っ張ったり削ったり組み合わせたりして、建物を作ったり、空飛ぶ車を作ってドライブしたり、でかい球体にみんなで座って砂の丘を豪速で転げ落ちたりして遊んでいた。
作っては遊び、遊ぶためには作って、そんな毎日だった。
いまこの記事を書いていて気づいたけど、このサンドボックスで作ったものをSecond Lifeという仮想世界の中で販売したのが、人生で初めて作ったものを売りお金をもらった経験だった。
生まれて初めてモノを売ったのが仮想世界の中だったとは、ちょっと感慨深い笑
今まで気にとめなかったのも、それが商売って感覚がなかったんだと思う。思いついたものを形にしたら、誰かが買ってくれたという感じだ。
とりとめもないので、そろそろまとめると
最初の話にもどろう。
2018年、VR・AR・MRというものが急速に普及してきている。仮想世界を形づくるピースが揃いはじめてきたのかなと感じている。
いまやスマホ1つで人の表情をバーチャルキャラに再現できてしまう。コンテンツ東京のVRブースの人と盛り上がったのが、「今後は人気アニメのキャラクターの声優がvtuber(バーチャルユーチューバー)としてリアルタイムにキャラクターを演じるのは当たり前になる。ファンと交流したりね」という話だった。
架空のキャラクターに魂が吹き込まれるわけだ。つまり今後、一般の人のコミュニケーションもそうなっていくという可能性を感じさせる。
現実のコミュニケーションと仮想世界が融合し始めている。
コンテンツ東京でもあちこちで使われていたが、Leap Motionという 人の手をそのまま仮想世界上に出現させる 機器がある。10,000円ほどで購入できる小さなセンサーをVRゴーグルに装着すれば、コントローラーなど不要で自分の手をVR空間上に出すことができ、手を振ったり、ジャンケンしたり、VRの物体をつかんだりできる。これは驚くほど直感的で、VRなのか現実なのか境目がわからなくなるほどだった。
現実の身体と仮想世界が融合し始めている。
インターネットが世界に普及して、スマホを多くの人が持つようになった。情報は公共、大組織が発信する紙面やテレビから、一人一台のスマホで得ることに移った。次は「手のひらから視界」と言われている。2018年はARデバイスの大競争となりそうだ。人は情報を得るのに媒体が「紙だから」「画面だから」といったことに縛られず変化してきた。より情報を得やすく、自然な状態、つまり「目の前の空間に情報が見えればいい」という環境に向けて突き進んでいる。
現実の情報と仮想世界が融合し始めている。
昨今話題の仮想通貨(暗号通貨)はしばらく投機的な状況が続くだろうけど、今年の後半から来年にかけて、かなり整備されてくるはずだ。
最近はゲーム内の通貨と仮想通貨を連動させる動きも活発。ゲーム内で儲ければ現実のお財布が潤う、あるいは仮想世界でデジタルアイテムを販売すれば仮想通貨で支払われる。良い悪いといった議論は他に譲るとして、冗談ではなくそんな世界がすぐそこまで来ている。
現実の通貨と仮想世界が融合し始めている。
世界の大人たちは、仮想世界と現実世界を融合しようと本気みたいだ。そして彼らは新しい世界を創ろうとしている。新しい世界が創られたあとは、誰もそれを「新しい世界だね」とは口にしない。当たり前の「いまの世界」になるからだ。こんな面白い時代はいまを置いて他にない。
僕もそんな一人として、今年からは特に力を入れて活動していく。2019年のコンテンツ東京では僕も出展する予定だ。お楽しみに。
子どもたちだけでなく、大人たちも朝目覚めるとき、子どものようにワクワクする世界。そんな世界を創るために活動していきたい。
最後に僕がとても好きな動画を共有しよう。
さぁ、今日も「世界」を創るためにゴーグルイン!
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