今年話題となったFacebook(フェイスブック)。海外での普及は凄まじい勢いですが、国内ではまだまだこれからといった様子です。

日本でもTwitterのように流行を迎えるのか、まだなんとも言えませんが、今回はFacebookの特徴、どうしてここまで多くの人に利用されるようになったのか考えてみました。

Facebook(フェイスブック)とは?

Facebookとは? – Facebook

Facebookは2004年にハーバード大学で生まれました。
Facebookを使って人は、写真やビデオをアップロードしたり、自分が今どこにいるかを近況報告したりして人とのつながりを深めています。
また、人を探してつながりやすくなるため、実名での登録が義務付けられています。誰に何を公開するかも細かく管理でき、プライバシーも安心。
世界中で5億人以上が使い、そのうち半分の人は毎日ログインしています。

Facebookの特徴 – その他SNSとの違いとは?

実名/実在の情報登録

ヘルプセンター「アカウントの停止 – 偽名」 – Facebook

Facebookで別名が使用できないのはなぜですか。

Facebookは実世界の交際関係にもとづいて構築されています。このため、別名の使用はFacebookの基本価値観に反します。また、偽名の使用は サイトの誤用につながる可能性が高いことがわかっています。Facebookではこのポリシーを真剣にとらえており、偽名の使用が見つかった場合は、アカウントの停止処分を取っています。

ほぼ全てのSNSが匿名登録を推奨しているのに対し、Facebookでは実名登録が義務付けられています利用規約の「4. 登録とアカウントのセキュリティ」に明記されており、ニックネームや虚偽の情報登録は規約違反になるそうです。

ちなみに実在の情報かどうかを登録時に確認されるかというと、今のところそういった仕組みはありません。ただし複数のユーザから「この人実名じゃないですよ」と通報されたり、明らかにキャラクターの画像をプロフィールに使用していたりすると、突然アカウントが停止になる可能性はあります。

ニュースフィード

Facebookの代表的機能がニュースフィードです。ホーム画面上に友人たちのさまざまな行動が自動的に表示されます。

  • 文章や写真の投稿
  • タグ付け(投稿されたものと関連する人の結びつき)
  • 誰と誰が友達になったか
  • 気になるサイトや動画の紹介
  • イベント告知
  • 外部への投稿(TwitterやTumblrなど)の読み込み
  • これらに対して「いいね!」が押されたことの通知
  • これらに対してのコメントの表示

などがニュースフィードには流れてきます。ニュースフィードは独自のアルゴリズムで表示内容が選別されているようです。

「いいね!」ボタン


↑これがLike!ボタン、日本語版では「いいね!」ボタンの実物です。その特徴は

  • ある情報に対してボタンを押すだけで手軽に評価を伝えられる
  • Facebookユーザがどれくらい評価しているかがわかる(いいね!数が見える)
  • 自分の(Facebookで承認済みの)友人が評価しているかどうかわかる
  • ニュースフィードで表示される各情報で押すことができる
  • 自分のサイトやブログに設置できる
  • ボタンの設置はコードをコピペするだけなので簡単

などがあります。はてなブックマークを利用している人はイメージしやすいでしょう。

はてブはブックマーク数による評価なので「たくさんあることが良い」ですが、いいね!ボタンは「趣味嗜好の似ているA君が評価」「同じ仕事をしてるBさんが評価」「尊敬しているC先生が評価」というように実社会と密接なため、たったひとつでも重要となりうる点が異なっています。

情報の公開範囲を詳細に設定できる

投稿する文字・画像・掲載するプロフィールの閲覧制限、自分のページへの他人の書き込み可否など、プライバシーに関わる設定ができます。

特徴的なのは設定できる項目が多岐に渡ることと、公開範囲をとても細かく設定できる点です。

この写真の画面上では近況、写真、投稿~連絡先情報までの9つの項目ごとの管理があり、これでも他SNSと比べると細かいのですが、下にあるリンク「設定をカスタマイズ」を選ぶとさらに細かく設定できます。公開範囲については、「すべてのユーザー」「友達の友達」「友達のみ」「自分のみ(=非公開)」の他に、「選択した人にのみ公開」「見せたくない人にだけ非公開」という指定も可能です。

  • 投稿、経歴、ホームページ、メールアドレスのみ全ユーザに公開して就活に利用
  • 電話番号、メールアドレスのみ所属するクラスやグループ内で公開し連絡網に
  • 家族間だけで公開して単身赴任や大学通学でバラバラの家族の近況確認に
  • お気に入りのファッションアイテムの写真を友人とだけ共有しコーディネートの情報交換に

など使い方はさまざまです。

個人や小規模でも広告が掲載できる

ソーシャル型広告の「Facebook広告」ってすごくね? – ホットココア社長日記

「属性を極限まで絞り込むことができ、超手軽に個人でも広告出稿をできる。」と言う、広告システム部分がFacebook広告は神がかっています。

Facebook広告については上記リンク先の方の説明がわかりやすいです。広告は誰でも作成でき、外部のウェブサイトやブログ、Facebook内のファンページへ誘導することができます。

特徴的なのはターゲットの絞り込みが個人情報に基づいている点です。Facebookに登録する個人情報は他のユーザーとの交流を円滑にするため、つまり「友人に見せるため」のものなので、事実に基づいた精度の高い情報となります。

例えば「20~30歳、旅行が趣味の独身の女性」「映画ハリーポッターのファンページに興味がある人」「長野県松本市在住、サッカーが好きな高校生」といった絞り込みを、広告主となる誰もが利用できることがFacebookの強みでしょう。

Facebookが普及した理由を考えてみる

情報伝達の相乗効果

Facebookではあらゆる機能がそれ単体での役割に留まらず、ニュースフィードと「いいね!」ボタンによって相乗効果をもたらします。例えば、雰囲気の良かったカフェの写真とスポットをアップしたとしましょう。この情報がニュースフィードによって友人全員に通知され、カフェに興味を持つ誰かが「いいね!」やコメントをくれます。「いいね!」やコメントが集中すると数あるニュースフィードの中でも優先的に表示されます。するとさらに多くの人が情報を目にし、誰かが実際にそのカフェを訪れたりするきっかけにもなります。

友人の多くがFacebookを利用している人のニュースフィードでは、友人たちが交流している活気を感じることができるでしょう。他のサービスでは味わえない独特な感覚だといえます。

ソーシャルフィルター

ソーシャルフィルターとは「人の目を通して選別された情報を受け取れる仕組み」のことです。

Twitterは(実名の人も多いですが基本的に)匿名の人同士が気軽にフォローしたりされたりという上に成り立っているインターネットらしいソーシャルフィルターで、不特定多数の人の中から自分に適した人を自由に探し出せるのが特徴です。

対してFacebookは実名の人同士による実社会の関係性がソーシャルフィルターとして働くよう意図されており、それが結果として自分にとって重要度が高いものとなるのが特徴です。

facebookの驚愕の事実!交流がない友達は友達ではないCommentsAdd Star – twitterやFacebookで結果を出す、はちえん。の中の人

ただ単に友達数を増やしても、友達から交流を持ってくれなければ、貴方、およびあなたのファンページの投稿は相手に届いてさえいない!という事実。

友達数の獲得や、複数アカウントを作ってのズルなど、機械的な作業でFacebookで影響力を持つことは不可能!

Facebookにおいて全ての情報の入り口となるニュースフィードには、限られた情報しか表示されません。友人であっても一度も「いいね!」やコメントを付けたことのない人の情報は表示されなくなっていきます。

逆に、直接友達でなくてもニュースフィードに表示されることがあります。例えば友達の友達の投稿に誰かが「いいね!」を付け、あなたのニュースフィードに現れることがあります。さらにその投稿に自分も「いいね!」を付けた場合、あなたがその「今まで知らなかった人」に興味をもったとみなされ、以後その人の投稿がニュースフィードに表示されることになります。

これはごく一例ですが、このようにFacebookはあなたの興味や特性を拾い出し、ニュースフィードにはあなたが興味を持つ情報ばかりが流れるように意図されています。

信頼性の担保

匿名、仮名、無署名・・・。名無しがあふれる、こんな日本の新聞記事を信じられるか? – 現代ビジネス

実名を起点に取材をした結果、事実が発表内容と食い違うということがあります。実名があれば、間違いの発見が容易になります。逆のことも言えます。間違いが容易に見つけられてしまうとなると、発表する側はいい加減な発表はできなくなります

ツイッターやブログなどを通じて情報の受け手がすぐさま発信者となる昨今、情報の信頼性は自分自身の信頼を保つためにも重要です。

2chではガセネタを掴んだとしてもそれは受け手が悪いというスタンスです。Twitterでは曖昧な情報でもインパクトさえあれば一瞬で広まってしまいます。情報の信頼性を担保する仕組みがないこれらの匿名コミュニティでは、目にした情報が信頼に値するか労力をかけ調べなければなりません。

Facebookでは自分の実在がはっきりしている上、情報の受け手は友人がメインなため、自然と発信する情報の信頼性を高めようとします。頻繁に情報収集をする人々にとって、こういった信頼性を担保する仕組みがあることは魅力的なのではないでしょうか。

ネット活動の成果を実社会に還元したい願望の高まり

「メディア利用状況」に関する調査結果 – NTTレゾナント株式会社

PCからインターネットの毎日利用は約9割
(中略)
性年代別にPCからインターネットでのソーシャルメディアの利用率をみると、若年層を中心に普及していることが分かった。『動画共有サービス』では、「女性10代(83.9%)」が最も多く、次いで「男性10代(78.0%)」となった。また、『個人ブログ』は、「女性10代(58.9%)」、「女性20 代(56.8%)」、「女性30代(52.8%)」がいずれも半数を超えており、若年層の女性が積極的に利用していることが伺える。『ミニブログ』では 「女性10代(26.6%)」、「男性20代(22.9%)」、「男性10代(22.0%)」が2割以上という結果となった。

人々のインターネットの利用時間、特にコミュニティやブログの利用率は非常に高いものとなっています。さらにネットでの活動が実社会に影響を及ぼす例が次々と起こっています。例えばニコニコ動画では初音ミクや「歌ったみた」を介して自分の曲・歌・絵などを世に送り出した人が何人もいますし、魔法のiらんどではケータイ小説がいくつも誕生しました。

CDや本をリリースするというのはまだまだ希少な例ですが、人々がネットに使う時間が増えていく以上「実社会へも好影響があるよう還元したい」と願う人も増えていくはずです。そんな中、自分の実在と1:1で活動できる数少ないSNSのFacebookはその還元願望を満たす助けとなる可能性があります。

活動の自由

Facebook上では「ファンページ」という、自分のプロフィールページとは別にページを作れます。例えばアーティストであれば自分のバンド、社長であれば自分の会社、デザイナーであれば自分のブランドの専用ページを用意でき、それらに興味ある人々を招くことができます。

またFacebookでは上述したように企業だけでなく個人も自由に広告を出稿できます。「○○でイベントやります」「路上ライブやります」「同人誌販売します」などの告知が手軽にできます。しかも一度つながりをもってもらえれば、その後広告を打たずともその人に関してはニュースフィードに情報を届けることができます。

利用料無料のSNSで商用利用も含めた活動が自由に出来る。これもFacabookの魅力のひとつでしょう。


まとめ

「普及の理由を考える」と題打っておきながら、ひとつの結論に集束することはないだろうと漠然と思っていました。ですがここまでFacebookらしさを色々と挙げてみたところ、全ての長所が実名登録制の上に成り立っているということが見えてきました。さらに言うと実社会での友人・知人関係だけにつながりを絞った時にこそ、最大限の楽しさ・利便性を発揮するようにできているといえます。

実名主義うんぬんという議論は後付けに過ぎない Facebookは創業当初から実名以外のユーザーネームという発想は無かった – Market Hack

ついでに言えば社会のヒエラルキーの頂点からはじめることのメリットということは余り議論にのぼりませんけど、これでFacebookが絶大なアドバンテージを享受したことは明白です。

つまり「ハーバードの学生とデートしたい」というノリです。

Market Hackさんの記事にあるような理由がFacebookそのものがここまで普及した理由としては正しいのかもしれません。5億人ものアクティブユーザーを獲得するというのは、仕組みを理由とした綺麗な世界だけで到達しえないものというのは、なんとなく想像できます。そのあたりは来年公開のFacebookの映画ソーシャル・ネットワークを観ることで垣間見ることができるかもしれません。

ただここまでの普及には仕組みとしても人々を掴んで離さないナニカがあると考え、それを探って考えを巡らしてみました。

中国古典の言葉に、「其の子(人)を知らざれば、其の友を見よ(その人のことを知りたければ、友人を見ればわかる)」というものがあるそうです。つまり友はあなたを映す鏡というわけですね。Facebookがその教えを参考にしたかはわかりませんが、転じて「自分に有用な情報を知りたければ、友による評価を見よ」とも言えるのではないでしょうか。

実名・実社会の関係性を利用したサービス、実名登録制で始めるサービスに大きなポテンシャルがあるのなら、来年あたりからそのようなサービスが増えてくるのかもしれません。